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「本格的な草刈機」も自動走行へ、IoTのオープン開発環境を活用して開発

障害物の回避にはクルマの自動運転技術を応用

2022/08/01 21:05
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 農業機械の自動化が進む中、太陽光発電所でも広く活用されている草刈機にも、自動化を目指した開発の動きが出てきている。

 例えば、農業機械メーカーの中でも、乗用型草刈機が広く使われているオーレック(福岡県広川町)が開発を進めている(図1)。

図1●自動走行の試験
図1●自動走行の試験
(出所:オーレック、九州大学)
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 除草機械の分野では、短い芝を対象とする「芝刈機」では、世界的にも自動化が早かった。自律的に稼働するロボット型の芝刈機はすでに約26年も前に製品化され、企業の一般的な事業所や住宅の庭などで広く使われている。

 例えば、ハスクバーナのロボット型の「芝刈機」は、無人で敷地内を自律的に動き回り、草を刈るという仕様で、太陽光発電所の除草対策としても理想的なものだ。

 米iRobotの室内用ロボット掃除機「ルンバ」による室内の清掃のように、自律的に草を刈りながら敷地内を走り回り、充電の残量が少なくなると充電ステーションまで戻る。満充電になると再び走行して草を刈り始める。このような手間いらずの除草を実現する。

 この機種を使う場合のポイントは、毎日走り回って日々刈り揃えるような刈り方をする点にある。太陽光発電所でも、この機種を採用する例が出てきている(関連コラム:「ロボットの自動除草」に最適設計したメガソーラー)。

 ただし、ある程度平坦で庭のように管理できる場所に限られており、草を刈る能力自体もそれほど大きくない。

 適用範囲を広げるには、より本格的な「草刈機」で、自律的に稼働するロボット型の実現が望まれる。具体的には、農業でこれまで使われてきたような、太く強固で背が高く伸びた状態の雑草を刈れるような草刈機などである。

 太陽光発電所であれば、他の点検などの作業をしつつ、ロボット型草刈機の様子を目で確認している間に、自律的に敷地内を走り回り、ある程度大きな雑草も含め刈り終えているようなロボット型の「草刈機」が理想といえる。

 オーレックの開発も、このような本格的な草刈機の自動化を想定している。

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